法人カードとは?法人カードを持つ意味と法人カードの仕組み、法人カードの種類を丁寧に解説

「法人カードとは一体何を意味するのでしょうか?」
「法人カードの仕組みを教えてください。」
「法人カード、法人クレジットカード、ビジネスカードは何が違いますか?」

法人カードとは一体どういうものなのでしょうか。今回は、法人カードとは?法人カードを持つ意味と法人カードの仕組みを丁寧に解説します。

法人カードとは?

法人カードとは

法人経営者(法人)、個人事業主に発行される事業の支払いに利用するためのクレジットカードのことをいいます。法人クレジットカード、ビジネスカードやコーポレートカードと呼ばれることもあります。

法人カードでは、引き落とし口座に「法人口座(個人の事業性口座)」を設定することができます。

そのため、会社の経費を利用するのに「法人カード」が使えるのです。

法人カードが利用できる代表的な経費

  • 光熱費
  • オフィス家賃の一部(仲介手数料など)
  • 通信費(電話回線、光回線、wifi)
  • オフィス家具の購入費用
  • コピー機の支払い
  • クラウドソーシングサービス(ランサーズ、クラウドワークス)
  • 交通費(電車代、ETC利用費、航空費)
  • 宿泊費(出張時のホテル代など)
  • パソコン、スマホなどの購入費用
  • 経理ソフト、業務ソフトの購入費用、利用費用
  • インターネット広告費(Yahoo!、google)

など、様々な経費の支払に法人カードが利用できるのです。

法人カードの仕組み

法人カードは、通常のクレジットカードと同じようにクレジットカード会社が国際ブランドのライセンスを取って、発行しているものです。

  • Visa
  • Mastercard
  • JCB
  • AMEX
  • Diners
  • UnionPay(日本では法人カードなし)

の国際ブランドが付いた法人カードが発行されています。

法人カードについている国際ブランドの加盟店で利用できる仕組みとなっています。

Visaの法人カードを持っていれば

  • Visaに加盟しているお店で提示することで決済が可能
  • Visaの支払いを用意しているネットショップで、Visaの法人カードの番号を入力すれば、決済が可能

です。

法人カードの支払いの仕組み

法人カードの支払いは、個人向けのクレジットカードと同様です。

法人カードの利用日の1カ月~2カ月後に法人口座からの引き落とし

となっています。

法人カードの支払いの例

  1. 3月1日:法人カードで支払い 10万円
  2. 3月13日:法人カードで支払い 5万円
  3. 3月31日:法人カードの利用額の締め:3月分15万円
  4. 4月30日:法人口座から3月分15万円分引き落とし

法人カードで利用すると、実質的に、1カ月~2カ月の資金繰りが改善するメリットがあります。

支払いの仕組み自体は、個人向けのクレジットカードと同じですが、支払方法の選択肢は、法人カードので注意が必要です。

法人カードには

  • 一回払いのみの支払いしかできない法人カード
  • 一回払い、二回払い、分割払い、リボ払いができる法人カード

という2種類があります。

法人カードを持つ必要ってあるの?

法人カードも、個人向けのクレジットカードも、同じように国際ブランドの加盟店で支払いができる決済用カードです。

では、個人向けのクレジットカードと同じ機能があるのであれば、法人カードを持つ必要ってあるのでしょうか?

最大の理由は「税務上、会計上の処理の問題」です。

経営者であれば、税理士や会計士から、口を酸っぱく

「個人と法人の支払いは、きっちり分けてください。」

と言われた経験があるのではないでしょうか。

経営者であっても、個人の支払いを法人名義でしてしまったら、業務上横領になってしまいますし、税務署から「脱税」を疑われてしまうことになってしまうので、税理士や会計が口を酸っぱく、「個人と法人の支払いは、きっちり分けてください。」というのです。

個人向けのクレジットカードでは、法人口座からの引き落としができません。

だからこそ

  • 経営者本人が利用するプライベートな支払い → 個人向けのクレジットカード
  • 法人の経費支払で利用する支払い → 法人カード

という使い分けが必要不可欠になってくるのです。

それ以外の理由もありますが、基本的には「個人」と「法人」を切り分けるために法人カードは利用するものなのです。

法人カードを利用するそのほかの理由

  • 資金繰りが1カ月~2カ月改善する
  • ポイントが貯まる(キャッシングが可能)
  • クレジットカード決済をすると、すぐにサービスが利用できる状態になる
  • ビジネスサービスの優待サービスがある
  • 利用できるサービスがある(空港ラウンジ、ビジネスラウンジ)
  • 出張時などに利用できる保険(海外旅行傷害保険、国内旅行傷害保険)がある
  • 商品の購入時に利用できる保険(ショッピング保険)がある
  • レストランの手配、出張の手配、ホテルの手配、イベントの手配に利用できるコンシェルジュデスクがある

などがあります。

大前提として、「個人」と「法人」を切り分けるために法人カードが必要なのですが、プラスαの特典も多く用意されているのが法人カードです。もっていて損はない決済用カードと言えます。

法人カードと個人向けのクレジットカードとの違い

法人カードと個人向けのクレジットカードとの違いとは?

  • 法人口座(法人名義の銀行口座)からの引き落としが可能
  • 企業向け、個人事業主向けのサービスが充実している
  • 社員向けに追加カードを発行できる
  • 限度額が一般向けよりも大きく設定できる
  • キャッシングが使えないものが多い

が挙げられます。

法人口座(法人名義の銀行口座)からの引き落としが可能

個人事業主の場合は、個人名義の口座を一般のクレジットカードに登録してそこからカード利用した経費支出などを引き落とすことができるのですが、法人の場合は、一般のクレジットカードでは契約者名義の個人口座しか登録できないため、法人名義の銀行口座から引き落とすことはできないのです。

法人名義の銀行口座が登録できるということは、法人の経費支払いをクレジットカード支払うことができるということなのです。

企業向け、個人事業主向けのサービスが充実している

一般のクレジットカードの場合は

  • ショッピング優待
  • レストラン優待
  • ショップ優待
  • スパ優待
  • ホテル優待

など、日常で利用できるサービスに対して、優待価格で利用できるようになっているものが多いのですが

法人カードの場合は

  • 事務用品
  • 宅配(バイク便・配送)
  • 福利厚生サービス
  • ハイヤー・タクシー
  • 経理ソフト・経理サービス
  • パソコン
  • 会計ソフト、経理ソフト
  • インターネット広告
  • レンタルオフィス
  • ビジネスラウンジ
  • 無料wifiサービス

と、会社で利用する機会の多いサービスが優待価格で利用できるようになっているのです。

法人カードを持っていることで、ビジネスサービスが安く利用できる特典が用意されているのです。

社員向けに追加カードを発行できる

クレジットカードには、追加カードとして「子カード」と呼ばれるものが発行できます。「子カード」で利用した費用は、「親カード」にまとめて請求が行く形になります。「親カード」で登録した口座から「子カード」分も引き落とされるということです。

個人向けのクレジットカードの場合

  • 子カード = 家族に発行するもの

法人カードの場合

  • 子カード = 社員に発行するもの

なのです。

経営者が契約主体となって、法人カードは発行するのですが

  • 副社長
  • 役員
  • 営業部長
  • 経理担当者
  • 総務担当者
  • 人事担当者

に追加カードを発行することで、経営者がいない状況下でも、各自が発行する追加カードを利用すれば、後程、親カードの法人カードから引き落とされるので、経理作業が簡単になるのです。

  • 接待の機会が多い役員や部長クラス
  • 経費支払の機会が多い、経理、人事、総務担当者

などに追加カードを発行することが多いです。

限度額が一般向けよりも大きく設定できる

ショッピング限度額の設定も法人カードの場合は、数百万円単位で企業規模などによって高めに設定することができます。

個人としての買い物などの利用よりも、会社の経費利用の方が金額が大きくなるため、限度額は比較的高額で設定できるようになっています。

キャッシングが使えないものが多い

個人向けのクレジットカードの場合は

  • ショッピング機能
  • キャッシング機能

の2種類の機能があります。

  • ショッピング機能 → 買い物時の支払いに使える
  • キャッシング機能 → コンビニATMなどでお金を借りることができる

ものです。

キャッシング機能を利用すれば、限度額の範囲内で、コンビニATMでお金を借りることができるのです。

多くの法人カードには、このキャッシング機能はありません。

「なぜ、法人カードでキャッシングできないのですか?」

法人カードで、キャッシングできることになると、法人がお金を借りることになってしまいます。

個人がお金を借りる機能であれば、年収がわかっている個人への貸付になるので、給料の中から返済できるので、お金を貸すクレジットカード会社にとっては、貸し倒れになるリスクは少ないのです。

しかし、法人がお金を借りる場合は、経営が成り立たなくなれば返済ができなくなる可能性が高いため、お金を貸すクレジットカード会社にとっては、貸し倒れになるリスクが大きいのです。

法人カードでのキャッシングは

  • 貸し倒れリスクが大きくなりすぎる
  • 融資をするための審査はしていない

ため、利用できない法人カードが多いのです。

ただし、一部の法人カードでは、キャッシング利用ができるので、キャッシングサービスを利用したい方は、キャッシング機能がある法人カードを選ぶ必要があります。

法人カードの種類とは?

法人カードには大きく分けて

  • コーポレートカード
  • ビジネスカード
  • オーナーズカード

と3種類の分類があります。

  • コーポレートカード:社員数100名以上の中堅企業、大企業が利用する法人カードのこと
  • ビジネスカード:社員数20名以下の中小企業、零細企業が利用する法人カードのこと
  • オーナーズカード:社員数名の零細企業、個人事業主が利用する法人カードのこと

を言います。

明確な定義があるわけではなく、各クレジットカード会社も、上記の名称を使っているわけではありませんが、大きく分けて3段階に分けられるということになります。

法人カード別の特徴

コーポレートカードの特徴

中堅企業、大企業が利用する法人カードのこと

  • 追加カードごとに利用限度額(利用枠)の設定ができる
  • マンスリークリア方式(請求締日の翌日にカード利用残高がクリアされる方式)
  • 請求書での銀行振込で支払える
  • 審査が厳しい
  • 年会費が高額
  • 発行しているのはクレジットカード会社のみであり、プロパーカードのみ

ビジネスカード

一番、一般的な法人カードのこと

  • 支払は、銀行口座からの引き落とし
  • 追加カードは、3名~99名の発行が可能
  • 年会費は、コーポレートカードより安い。年会費永年無料のビジネスカードもある
  • 優待の種類は幅広い
  • ビジネス系の優待サービスが充実
  • オーナーズカードよりは、審査が厳しい
  • 支払方法は、一回払いのみが基本
  • キャッシング払いができない
  • 発行までに時間がかかる

オーナーズカード

法人経営者のみ、個人事業主の単独で利用する法人カードのこと

  • 支払は、銀行口座からの引き落とし
  • 追加カードの発行ができない
  • 個人利用時の優待サービスが充実
  • 審査が甘い
  • 申込時の提出する必要書類が少ない(決算書不要)
  • 発行までのスピードが早い
  • キャッシング機能がある
  • 分割払い、リボ払いに対応している

各クレジットカード会社も、明確に上記の3つの法人カードを区別して発行しているわけではありませんが、法人カードを比較するときに上記のような違いがあることは頭に入れたうえで、検討する必要があります。

法人カードの追加カード

法人カードには、追加カードを発行することができます。

  • 追加カード:社員が使える子カード
  • ETCカード(法人ETCカード):ETC料金の支払いが可能

の追加発行が可能です。

その他

一部の上位カードには

  • コンパニオンカード:違う国際ブランドがついた同様に使えるカード

個人のクレジットカードを法人カードとして使える

  • ビジネスアカウントカード:個人のクレジットカードに法人口座から引き落としができる追加カード

が発行可能です。

法人カードを使いこなすためには、追加カードを使いこなす必要があります。追加カードも含めて、法人カードを活用すると、さらに経費支払の選択肢が広がります。

まとめ

法人カードは、ビジネス向けのオンラインサービス、クラウドサービスが年々増えてくると同時に、必要性が高まっています。Yahoo!、Googleなどの広告出稿や会計ソフトのクラウドサービス、クラウドソーシングサービスなどを考えても、大手企業だけでなく、中小企業も、零細企業も、個人事業主も、多くの方が利用するようになっています。

法人カードで支払うことで

  • 資金繰りに有効
  • ポイントが貯まる
  • すぐにサービスが使える状態になる

ため、法人カードを利用する会社が急増しているのです。

インターネット上でのサービスが増えれば増えるほど、クレジットカードによる経費決済の必要性というのは大きくなるため、法人カードの必要性もどんどん大きくなっているのです。

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